母の声

春休みが始まった。始まってほしくないのに、始まってしまった。夏休みのことを思えばまだましだ、と自分を慰めながら頑張っている。

 

小さなころは泣きながらトイレにもついてきたのに、今や母(私)の話は半分以上素通りである。何回か同じことを話しかけ、生返事を繰り返し聞き、「聞いてるの?!(怒)」となるというお決まりのパターンである。きょうだいともにこうなので、私の導火線もだんだん短くなりつつある。

 

しかしよく考えてみれば、自分もそうなのだ。母のことは好きだし、仲もいいと思う。自分が子供を持ってからは、母の苦労がわかり、ありがたいなと思う気持ちも増した。それでも、実家に帰ってぼーっとしている時などに母に何か話しかけられると、意図的ではなく、声が耳を通り過ぎて行ってしまうのだ。しかも、話しかけられたことによる反射的な行動で「うん」と言ってしまうからたちが悪い。結局、「うん」「うん」「うん?」「…何て?」と、自分の子どもと同じ状況になっている。母の苦労など知る由もなかった学生時代は、もっとひどかっただろう。

 

多分これは、小さい頃から、なんならおなかの中にいる頃から声を聞きすぎているがゆえに、波長に慣れすぎているために起こることなのではないか。

 

そう思いながら、自分の行いも振り返りながら、なんとか爆発に耐えつつ、新学期を心待ちにしている(母が)。