おかあさんといっしょ:あつこお姉さん卒業

あつこお姉さんが「おかあさんといっしょ」を卒業した。あつこお姉さんの未来に幸多かれと願う。ところで、あつこお姉さんが初日を迎えてその初々しさに涙が出そうになった日がついこの前の気がするのだが、調べてみたら、6年間お姉さんを務められたとのこと。あつこお姉さんの功績は素晴らしいのだが、6年間がこんなにあっという間だったという事実を直視できない。恐ろしすぎる。

 

20代前半から半ばくらいまで、私が激務に明け暮れ、のちに6年間放置して実母に怒られることになる醤油を熟成させている間に、すでに親となった友人もいた。自分の仕事とお子さんの成長具合が上手くかみ合い、会いにいけるくらいになる頃に、お祝いを選ぼうと、お子さんて今何が好きなのかな?と尋ねると、アンパンマン、もしくは「いないいないばあっ!」か「おかあさんといっしょ」のキャラクター、という回答がほとんどだった。子どもと接することもなかった若かりし頃の私は、いや、うそでしょ?みんなそんなに同じ番組見てるの?アンパンマンと並列?このよくわからないキャラが?と半信半疑だった。

 

しかし、自分が子を持って思った。「おかあさんといっしょ」はあらゆる親にとっての全知全能の神なのだ。全く寝ず、置けるまでに4時間かかったこともある上の子の毎晩の寝かしつけは、無音では耐えられない苦行だった。白目をむきながら半分魂が抜けた状態で赤子をゆらゆらする私を誰よりも励ましてくれたのは、だいすけお兄さん&たくみお姉さんだった。真っ暗な部屋でぼよよん行進曲がエンドレスで流れ、髪も服も乱れた中年女性が立って赤子を揺らしている様はもし他人が見たら限りなくホラーだったと思う。知り合いゼロの土地で寝ない子相手のワンオペ育児をしていた私にとって、だいすけお兄さん&たくみお姉さんの優しさと明るさは一筋の光だった。

 

子が少し育って、寝かしつけの苦労が減ってきても、「おかあさんといっしょ」はまだまだ貢献してくれた。番組をつけておけば、どれだけイヤイヤ期でも後追い期でもその間は子どもをロックオンでき、その間に最低限やらなければいけないことを高速で片付けられる。そうやって助けられてきた無数の日々があった。

 

我が家の育児の最大の伴走者であり、夫よりも何倍も多くの苦労と喜びをともにしてきたたくみお姉さん、だいすけお兄さん、よしお兄さん、りさお姉さんが卒業した時には、本当にびっくりするほど泣けた。その先に待っている未来は応援したいが、いつまでもこのままで時が止まってほしくて、娘を嫁に出すような気分になった(出したことないから知らんけど)。

 

動くあつこお姉さんを初めてテレビで見たのは、たくみお姉さんとの交代挨拶の日だったように思う。たくみお姉さんの存在が個人的に偉大過ぎて、新しいお姉さんとかちょっとまだ無理なんで…と思っていたが、全身で「一生懸命です!」という感じのあつこお姉さんを見ていたら、その回が終わる頃には、「このお姉さん、推せる!」と前のめりになっていた。

 

人形劇も、ポコポッテイトを溺愛していたので初めてガラピコぷ~を見た時は正直、何コレ…と絶望した。しかし、一週間が過ぎる頃には、めちゃくちゃ可愛く見えてきて、今ではこれまでで一番可愛いんじゃない?と思っているからすごい。

 

最近は、おかあさんといっしょを見たがることも減ったが、あつこお姉さんとガラピコぷ~の卒業は子どもたちと正座して見た。あつこお姉さんの泣き笑いのような表情を見ていたら、いろいろなあつこお姉さんとそれを見るわが子たちの表情が走馬灯のように脳裏を駆け抜け、泣けてきた。日本中の子どもたちにたくさんの幸せと笑顔をくれたあつこお姉さん、ありがとうございました。これからも、元気で、何より幸せでいてください。